水色の匂い

水色の匂いの個展作品をご紹介します。水色の匂いは原宿にある絵本の読める喫茶店、SEE MORE GLASSにて、2008年12月5日から12月17日に開催された、マツヤマ・アキオの第16回イラスト作品展です。

15時の出来事

珍しく1日がぽかんと空いた。
いつもの時間に目が覚めて、
途方に暮れて、
再び眠りについた。

目が覚めると、
15時だった。

僕の暮らすアパートは、
こんなにも静かだったのかと、
布団から顔を出して耳を澄ます。
天井裏からちゅうちゅうと、
小さな音が聞こえたような気がした。

本を眺める休日

週末になると本屋に立ち寄って、
必ずと言っていい程本を買う。
それらは満杯になってしまった本棚の脇に積み上げられて、
僕の部屋の一部になる。

僕は本を読まない。

ソファーに腰掛けて本を眺める休日。
僕は満たされた気分になる。

切れた電球と呆れた私

電球が切れた。
何故こんなに暗い時間帯に電球が切れるのかと腹を立てたが、
暗くならなければ電気を点けないことに気付いて、
恥ずかしくなる。

遅くまで開いている電気屋へ急いだものの、
電球のサイズが分からずに、
再び暗い部屋へ戻る。
どうでも良くなって、
笑いが込み上げる。

木曜日に履く靴下

木曜日。
いつもとは違う。
月曜日とも火曜日とも水曜日とも違う、
金曜日とも土曜日とも日曜日とも違う、
木曜日。

靴下は厚手でお気に入りのものを選ぶ。
履き慣れたスニーカーの靴紐を、
きゅっと締める。

大好きなあなたの家は、
駅から歩いて20分程の、
大きな煙突の下。

半分の洋なし

「この洋なしの裏側には、洋なしがない。」
昨日買ってきた洋なしを眺めながら、
君が呟く。
君はそんなふうにありもしない話をして、
僕を困らせるのが好きだ。

月曜日、
僕はひとり声を出して笑う。

「この洋なしの裏側には、洋なしがない。」

その半分は、
きっと今頃、
君の身体の一部だろう。

まあるいまどのいえ

いつもの散歩道に、
まあるいまどのいえがある。
まるで生活感のない建物だが、
夜になると明かりが点いている。

ぴりぴりと寒い冬の夜に浮かぶまあるいまどに、
今夜は子供の影を見た。

しばらく会っていない両親の顔が、
ふっと頭に浮かんだ。

こころ・くだもの

仕事帰りにぶらりとスーパーへ寄って、
なんとなく果物をかごに入れる。
会計を済ませて果物をかごから袋へ移し、
スーパーを出る。

自分の顔が少しずつ緩んで行くのが分かる。
今日はこころに果物が入るだけの、
小さなゆとりがある。

水色の匂い