日常と暮らし

日常と暮らしの個展作品、作品展ロゴマークをご紹介します。日常と暮らしは原宿にある絵本の読める喫茶店、SEE MORE GLASSにて、2013年10月13日から10月25日に開催された、マツヤマ・アキオの第18回イラスト作品展です。

日常と暮らし

お皿を洗いながら、思い出す。
夕食の秋刀魚が美味しかったこと、
そこに添えられた大根おろしの甘み。
君の顔、君の声。
今日1日、見たこと、聞いたこと。

鈴虫が羽を擦る音が聞こえる。
少し肌寒くなったので、
押し入れから取り出したカーディガン。
不意に鼻先を通り過ぎる、1年前の記憶。

僕は煙草を買いに、
コンビニエンス・ストアーへ出掛ける。
いつもの道、いつもの空。
続いていく、日常と暮らし。

フランス鼠

フランス鼠は知っている。
このチーズがスイスで作られたこと。
この家の主人が昨晩、
チーズフォンデュを美味そうに頬張ったこと。
物置になった屋根裏に、
いまも主人の息子の玩具が、
丁寧に保管されていること。
分厚い電話帳の78ページ目に、
主人のへそくりがあること。
鼠にはそれがただの
紙切れにしか見えないこと。

スイスのチーズを齧りながら、
鼠は故郷のフランスと、
そこで作られたチーズのことを
懐かしく思い出した。

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頭の中に、
朝からずっと数字が並んでいる。
僕は数字が苦手だから、
その並び順は多少曖昧なものかもしれない。

歩いていても、
電車に乗っていても、
不意に誰かに話しかけられても、
数字が列を乱すことはない。
目的が果たされるまで、
彼らは決して諦めない。

僕は諦めて携帯電話を取り出す。
君の誕生日は、
10月だったはずだ。

ご飯

炊飯器から湯気が上がる。
美味しそうな音、美味しそうな匂い。

今日の献立を思い出しながら、
食器を棚から取り出して
テーブルに並べていく。

FMラジオが交通情報を伝える。
「首都高速道路 中央環状線
堀切・小菅ジャンクション付近で渋滞…。」

私は中央環状線に車がびっしりと並んでいる
ところを想像しながら、
木綿豆腐を采の目に刻み、
味噌汁をおたまでゆっくりと回してみる。
中央環状線の車を思い浮かべながら。

いろいろないろ

夕食の献立が決まらない日は、
車で大きなスーパーへ出掛ける。

ショッピングカートを押しながら、
野菜売り場をゆっくりと回る。
料理のことは考えずに、
いまの気分に合った色や、
形を考えてみる。
家に持ち帰りたいと思ったものだけを、
買い物カゴへ入れる。

家に戻ったら、
食材をテーブルに並べて、
もう一度夕食の献立を考えてみる。
足りないものをリストアップして、
近所の小さな八百屋へ出掛ける。

栓を抜く

今日は朝からとても天気が良かったから、
広々とした公園にレジャーシートを敷いて、
ビールでも飲めたら最高だったのにと思う。

パソコンの電源を落として時計を見ると、
25時を回っていた。
仕事が立て込んでいると
1日中椅子に座っているから、
少し歩きたいなぁと思って、
近所の酒屋まで出掛ける。

いつもよりも高価な瓶ビールと、
つまみにピスタチオを買う。
君から貰ったお気に入りの栓抜きで、
栓を抜く。

目玉焼き

朝食の目玉焼きを眺めながら、
僕はその味付けについて考えている。
塩胡椒、醤油、ソース、ナンプラー。

突然電話が鳴る。
彼女は白のシャツに
黄色のスカートを履いてくるのだけれど、
帽子を赤にするべきか、茶色にするべきか、
黒にするべきか迷っているのだという。
僕は黒が良い気がすると伝えて、
受話器を置いた。

目玉焼きには醤油をかけることにする。

そろそろ待ち合わせの時間だ。

冬を編む

秋になると手芸店へ出掛けて、
毛糸玉をいくつか持ち帰る。
リビングの棚に毛糸玉を並べて、
温かいココアを入れる。

体がだいぶ冷えていたようで、
無意識にココアのカップを
握りしめていることに気付く。
冬になると、
かじかんだ手に息を吹きかける
あの人の姿をふっと思い出して、
可笑しくなる。

ミトンの編み図を眺めながら、
今年の冬を想う。

作品展ロゴマーク

2017.10.18

久し振りに、晴れ。朝、洗濯をする。それから、爪を切る。昼食に、味噌かつ煮定食。午後から集中して、HTMLのコーディング作業。ベースとなるページを仕上げる。日中は暖かかったけれど、夜、冷え込む。

日記